「あまり僕以外のものと口を利かないでください。妬きますよ」
「お前なあ……」
あまりに直截な言い方にあきれて言葉が出てこない。
「一つ所で集団生活をしている以上、誰とも口を利かないなんて無理に決まってるだろうが。無茶言うな」
正論で言い含めるように伝えても、ふいと拗ねたように顔をそらされて、長谷部はため息をついた。
宗三の、この悋気の強いところが好ましいと思う気持ちもないわけではないが、こうまで口うるさいと生活に支障が出る。支障が出ることは宗三もわかっているくせに、わざとなおさないのだ。
「かわいいこいびとのかわいいワガママひとつも聞けないと?」
「聞けることは聞いてやるがな、これは無理な部類だろ」
「どうせあなたひとづきあいも悪いほうなんだし、いっそのこと孤立してしまえばいいんです。そうすれば、心おきなく囲えるのに」
「出陣に悪影響が出るだろ。俺は戦場で役に立たない鈍ら扱いされるのは御免だぞ」
「出陣する必要あります?あなたの分も僕が働いてさしあげますよ」
「お前がそれを言うか?」
とうとう刀として本末転倒なことまで言い出して、また深くため息をつく。さすがに本気で言っているわけではないだろうと、わずかに逸れた宗三の目を見るが、どうにも本気の色がチラついていて不覚にも背筋に寒いものが走った。
「……念の為確認するが、冗談だよな?」
「さあ?どう捉えてもらってもかまいませんが」
拗ねて顔をそらしながらも、視線だけはしっかりこちらの顔に向いている。その目を見ていると、どうにも相手に飲まれているような感覚がして、耐えかねてこちらが視線を下に向けた。
「とにかく、こればっかりはお前の言うことなんか聞けないからな」
それだけはしっかりと伝えると、妙に無表情だった宗三の顔が、いつもの柔らかい笑みに変わる。
「残念。押し切れると思ったのに」
「できるわけないだろ」
そこまで独占欲を表に出されて、喜ばなかったかと言われると嘘になる。けれど、主の刀として頷くことはできないという理性はしっかりと残っていた。
「でもあなた案外流されやすいですし。……だから不安になるのもあるんですが。ねえ、やっぱり他のものとはあんまり口を利かないでくださいよ。流されて何をされるかわかったもんじゃない」
「皆がみんなお前みたいな奴だと思うなよ。何かをしてくるような不届き物はお前だけだ」
それを許すのもお前だけだ、と小声で付け加えてやれば、宗三は一瞬きょとんとした顔になった後、はじけるように破顔した。
籠の中に
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