刀剣男士たちにとっては、主が設定する景趣こそが「外の季節」である。たとえそれが外の世界で「夏」とされていようとも、主が日差しを白く照り返す雪原の景趣にすれば、その本丸では「冬」である。
そしてまさにこの本丸での季節は、寒さで手もかじかむ「冬」であった。
政府の催しで水砲戦をやっておきながら、帰ってくると芯から凍るほどの寒さに見舞われるのは正直勘弁してほしいのだが、実際主に苦情を申し立てにいった刀も「だって雪が好きなんだもん」の一言で切って捨てられた。主を選べない物の性である。
「まあ、だからこうして堂々とくっついていても文句は言われないんですけど」
「そうじゃない。言っても無駄だから何も言われないだけだ」
なぜか特設会場を抜けると綻びた衣装も削れた刀装も元の状態に戻る。それでも寒いものは寒いと、宗三は長谷部に後ろから抱き着いて帰還する。
長谷部の言う通り、もう誰も突っ込む気力もないから何も言われないだけで、正直異様である。袖や草摺は邪魔じゃないのだろうか。そもそも寒いならその大きく開けた胸元をしめろと言いたい気持ちでいっぱいだった。
「ねえ、でもあなたも嫌いじゃないでしょう、こうやって抱きしめられるのは」
「状況によるよな。普通に歩きづらくて迷惑だ」
脇の下から交差するように胴に回した腕をすべらせて、長谷部の腰をつかむ。長谷部は無言でその肉の薄い手の甲を抓った。
そんな歩きにくい状態で二口進んでいるせいで、一緒に出陣していたはずの仲間はとうに本丸の中に入ってしまった。さくさくと、いつ見ても新雪のようにきれいに積もった雪の上を歩く。
ふいに、宗三が長谷部を抱きしめたまま足を止める。長谷部も一瞬つんのめりかけたが、踏みとどまっておとなしく立ち止まった。
「……ねえ、ふたりきりですよ」
「そうだな」
長谷部が抱きしめられたまま、首だけを回して後ろを振り向く。その少しかさついた、しんとした空気で冷えてしまった唇に、同じように冷たい唇を重ねた。
「このまま、あったまりません?」
「……そうだな」
長谷部が抱きしめられたままだった腕を、やさしく外す。左手で宗三の右手を絡めるように握った。
「でも、少しくらいは寒いほうがいい。冬の寒さのほうが性に合う」
冷えで少し赤くなった指先を合わせて、小声で呟く。
「その方が、温かさがわかるだろ」
「なら、もうこのまま部屋に行きましょうか。湯浴みもしないままでも、いいでしょう?」
長谷部からの返事はなかったが、遊ぶように絡められた指先がなによりも答えを物語っていた。
熱で溶かして
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